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そのまま、例の彼とは数年間電話やメールで連絡を取る関係性が続いていた。




わたしは26歳になっていた。




職場も変わり、出世意欲の強かったわたしは、
前にも増して仕事にも遊びにも精力的に取り組んでいた。
やっと東京ライフが楽しくなってきていた。





そんなある日、ある友人の結婚式で帰省していたわたしは、
東京に戻る空港まで、彼に送ってもらう予定をしていた。






その車の中で、突然、






「結婚するか?」






と聞かれた。






わたしが何年もそうなると良いな、と思っていた言葉だった。






でも、わたしがその時反応したのは、






「あははははははははははははははは」






ただ笑うだけだった。
どう返答したら良いのか分からなかった。
自分がどう思っているのかもわからなかったけど、
喜んではいないことは確実だった。






彼のいろんな質問をはぐらかすように答え、
東京に戻ったわたしは、涙が止まらなくなった。







結婚できない。







わたしの答えはこれだった。
なんで?何年も望んでたはずなのに。
自分でも不思議で仕方なかった。







そこから一週間、なんと伝えたら良いのか、
お手紙にしてみたり、毎日毎日考えた。







そして、電話した。
渋谷のど真ん中で、歩きながら。
都会の喧騒の中で、何かをごまかしながらじゃないと電話することができなかった。







なんで今なの?
わたしのことほんとに愛してるの?
わたしが東京で頑張ってるの知っててよく帰って来いって言えるよね?
うちの両親がなんて思ってるか知ってる?
地元に帰ってつまらない人生を送るのは嫌だよ。
本当に幸せになれると思う?
なんで今なの?
なんで?
なんで?









たくさんの言葉を飲み込んで、
ただ泣きながら、
結婚できないことを伝えた。







飲み込んだたくさんの言葉たちは、
涙となってあふれてきた。







その時は、3年待って。という話で終わったのだけど、
きっと彼は結婚がしたかったのだろう。
そこから数か月で彼女ができ、その更に数ヶ月後には結婚した。








わたしがそれを知ったのは、彼が結婚する直前だった。
連絡の取れなくなっていた彼にどうにかして連絡をつけた。








彼は絞り出すような声で、
実は結婚するんだ。ということを教えてくれた。










なんとなくわかっていたから悲しくはなかった。
心の準備はできていた。
そして、驚くほどに、ほっとした自分がいた。








彼に幸せにしてもらおうと思っていたようで、
わたしが幸せにしなければとも思っていた。








わたしは幸せにできない。








だから、すごくホッとしたんだ。






彼を好きでいることが、終わった。












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